12月25日です。
僕はキリスト教徒ではないのですが中世の宗教画が好きです。
そう、キリスト教徒ではないので今日は平日です(笑)
今日は目からうろこが落ちる話です。
その昔ユダヤ教徒であったパウロという人が、キリスト教を取り締まる為にある街へ向かっていました。
その途中で突然『何故私を迫害するのだ』という神の声を聞いて倒れ込み、そして目が見えなくなりました。
なんとか街に着くとそこでなんと敵対しているはずのキリスト教徒に手当をしてもらい祈りを捧げてもらいました。
すると目から鱗のような物*1が落ちて目が見える様になったのです。
神の声を聞いた奇跡と目が再び見える様になった奇跡を体験したパウロはキリスト教に改宗し、その後は熱心に布教活動をしたとの事です。
と、これが「目からうろこ」という言葉の由来です。
完全に日本の言葉だと思っていたのにキリスト教が元だったんですね〜。
僕も初めて知ったときは驚きました。
これは僕が好きな画家のカラヴァッジョの作品「聖パウロの回心」です。
パウロの目が見えなくなる場面を描いたものです。
この説話を題材とした従来の絵画ではパウロに対し神の軍勢が押し寄せている構図になるのが一般的でした。(カラヴァッジョも前作でそれを取り入れていた)
ですがこの作品ではそれが個人的、意識的(脳内)体験として描かれています。
倒れこんだパウロは目をつぶっており意識の中で神的体験をしています。
馬とその隣の男は落ち着いています。つまりその現象が感じ取れていません。
絵画が写実を超えて人間の内面へと向かい出した歴史的な一作であり、内面的な表現を重視している現代アートへの遠い血脈を確かに感じます。
追記
カラヴァッジョは芸術家としては最高ですが人間としてはかなり尊敬できません。
興味のある方はこの本がおすすめなのでどうぞ。
作品の解説、生涯がわかりやすく書かれています。
もっと知りたいカラヴァッジョ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 宮下規久朗
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2009/12
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
*1:魚はキリストの象徴とされている