アマゾンプライムで観た映画の感想です。
「ロボコップ(2014)」
僕はもともとロボコップシリーズが好きなのですがこのリブート版もすごくよかったです。
デザインも洗練されてカッコよくなっていましたし、ストーリーにも重さが増していました。
前作ではマーフィーがロボ化された時すでに感情を失っていました。
人間とのギャップにそこはかとない悲哀を感じさせる描き方でしたが、今作では感情を保ったままロボ化されたマーフィーが自分の姿に激しく苦悩する表現がありました。
そして感情が後から奪われる場面では残酷さが強調されていました。
身体の一部だけしか残っていないことを分からせようとするシーンはショッキングな程グロテスク。
しかしそれは単なる空想ではなくいつか実現される光景だと思います。
現在でも猿やマウスの頭を別の個体の身体に移植するという手術が成功したという研究発表があり、年内にも人間の手術を予定しているのだとか。
(ちょっと真実味に欠けるといった評価を受けています)
人間の体をロボットに置き換えるサイボーグ化の研究も着実に進んでいます。
そしてその技術が現実のものとなった時、マーフィーの様に苦悩する人間が出てくるでしょう。
SFとは単なる空想や絵空事ではなく現実的な問題を抽出し、未来においてどう発現するかをシミュレーションする行為なのです。
「第9地区」もそういった意味で人間をよく描けている正しいSFでした。
呪術的な食人やギャングの台頭はアフリカで現時点の問題ですし。
ロボット導入を推進するプロパガンダ番組のシーンついては「スターシップ・トゥルーパーズ」も思い起こされます。
あれも最高。
映画でははっきりと誇張されたとわかるプロパガンダも現実世界ではもっと巧妙で、本気で信じている人たちも多いものです。
「人間って技術が進んでもどうせこうゆうことしちゃうよね」ということを描くのがSFの本質なのです。
ところで昔のロボコップは日本の特撮シリーズ「宇宙刑事ギャバン」を基にデザインされているのは有名な話ですね。
ストーリーはこれまた日本の漫画「8マン」(エイトマン)からインスパイアされていると言われています。
でも日本で映画化されたらこんなに面白くはなっていなかったでしょう。
昔のシリーズよりも時代を反映した新しい要素が組み込まれていたせいで、若干詰め込み過ぎになってしまい終わり方があっけない感じもありました。
昔のシリーズで切り札的な敵ロボットが何体も出ていたし、さほど重要な役割を果たしてはいませんでした。
それでもとてもいい作品で満足できました。