月曜に休みを取って六本木にある国立新美術館で開催中のダリ展に行ってきました。
ずっと月曜が定休日だと思っていました。
平日なのであまり混雑していなくて観やすかったです。
ダリは超がつくほど有名な画家なので名前や派手な奇行とも呼べる振る舞いをゴシップ的には知っているものの作品については一部を除いてほとんど知らないということに今回気づきました。
焼いたベーコンのある自画像とか燃えるキリンのいる絵や時計がグニャってなってる教科書にも載るレベルの作品の印象しかありませんでした。
ただそれらの絵は来ていませんでしたけどね。
ところで彼の作品を見るとドラゴンボールの世界を思い出すのは僕だけでしょうか(笑)
あの戦闘に都合のいい荒野や「精神と時の部屋」がダリの絵画のイメージと重なってしまいます。
他にもキリコなどシュールレアリスムの作品は背景に平地多いですよね。
こういった個人展でのいい面はやはり時代によって作風の移り変わりがわかることだと思います。
ダリも若い頃は結構普通っぽい印象派や当時のトレンドであったキュビズムを取り入れた作品を残していました。
やはり色々試行錯誤を続けて自分のスタイルを確立したんだな〜という努力の痕跡が垣間見えますね。
そこに掲示されていた解説文で知ったのですが、ダリにはヒトラーへの共感があったというのがショックでした。
でも後でヒトラーを題材にした作品を検索してみたのですが、全然褒め称えているようには見えませんでした。(むしろ小馬鹿にしてるような笑)
彼は「営業変態」な面があったのでそこも演出であった可能性もあるかもしれません。
その当時リベラルなアーティスト達はみんな嫌っていたから逆に取り上げたのかも。
本人か社会への皮肉か、しかし時代背景が当然ながら僕には実感としてないのでなんとも言えません。
教科書に載っているような超有名作はあまり無かったとはいえ今回展示されている作品点数はかなり多かったです。
演劇の衣装や舞台装置のデザインスケッチ、絵本の挿絵、書籍、アクセサリー、映像作品もありました。
「アンダルシアの犬」というワンシーンだけ知っていた無声映画があるのですが、そのシーンはやっぱり直視できませんでした・・・。
ちなみに内容は全く意味がわかりませんでした。
「デスティーノ」というアニメはなんとディズニーとの共作。
ダリの世界とディズニーのテイストがぴったりと一つに融合した見事な作品でした。
これは観られて良かったです。
(YouTubeにも上がっているけど貼らないでおこう。検索したらすぐ出るだろうな〜〈小声〉)
彼の描き方は相似した図形を反復させながら用いて違う対象を描き出すという技法が特徴です。
本人が「形態学的なこだま」と呼ぶ部分です。
簡単に言うと似た形を別の絵に仕立てるということです。
「ナポレオンの鼻」(今回の展示作品ではありません)
手前に白い顔の像があります。
その奥を見ると同じようなイメージが配置されていますがそれはくり貫かれた岩であり、鼻の部分は女性で構成されています。
その岩も本、男性器のモチーフに変化し材質も木質に見える部分があります。
あるところから焦点をずらすと違う主題へと緩やかにメタモルフォーゼしていくその様は、まるで30秒前の思考ですら今ではすっかり変わっていながらもしかし、ひと続きであるような人間の意識そのものなのではないでしょうか。
質感・重さ・遠近も不確かに存在する一見グロテスクにも思える光景ですが我々の意識は普段からこのように目まぐるしく回転、変化を伴うものであると示されているような気がします。
果たしてそれ以上にこれらの作品が真に意味することとは何なのでしょうか?
彼は大衆が希求する天才像を演じて見せたという面があると言われています。
我々が理解できないのが天才であり、それゆえに彼は天才なのだと解釈するという認識をうまく突いたのかもしれませんね。
しかしながら彼の天才は人々が考えうることを凌駕した場所にあるので凡人の僕が推し量ることなどはできません。
ただ偉大な絵画の巨人の思考の影を見るばかりでしょう。
開催期間は12月12日までです。
作品多すぎて後半頭に入ってこなかったのでもう1回行こうかな〜(笑)
まだ観ていない方はお早めに!
熱烈なダリフリークな方のブログを見つけました。
この方のブログを読んだ方が参考になると思います(笑)