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今日もちょっと楽しい

暗い時代劇映画5選(+1)

「◯◯な映画ベスト◯」って記事をよく目にします。

こうゆう映画のまとめ系は人気が高いようですね。

なので僕も真似してみようと思います!

題して

 

『暗い時代劇映画5選(+1)』

 

 

便乗する意味無し!

どうですか?この需要のなさ(笑)

 

でも僕は時代劇が好きだ!いざ!

 

 

1「十三人の刺客」 

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ストーリー 

暴虐な藩主に耐えかねた家来が、その訴状を持ち筆頭老中(偉い人)宅の門前で割腹。藩主の非道が広く知られる事となる。

しかし藩主は徳川家の血筋であるため公には処罰することができない。

そして秘密裏に13人の暗殺部隊が組織される。

 

老中が暗殺を頼む時の台詞に「命捨ててくれないか」(うろ覚え)とありました。

失敗=死亡ですが、なんと成功しても切腹or処刑の道しか残されないのです!

まじかよ。。。それでも侍ってやつは上意に従います。

 

天下太平な江戸時代で人を斬った事のない侍ばかり、という時代考証を元にした殺陣のシーンはリアリティがあります。

皆ぎこちなく、しかし死を現実に目の前にした人間の絶望とうろたえぶりはあまりにも壮絶。。。

 

2010年にリメイクもされています。

 

十三人の刺客 通常版 [DVD]

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2「上意討ち−拝領妻始末−」 

ストーリー 

藩主がお払い箱にした側室を、藩主の命令によって妻として迎える事になった武家

藩主の体裁を保つ為の命令で武家にとっては屈辱的な事である。

しかしその妻が側室となった悲しい経緯や真っすぐな人柄を知り、心から結婚相手として受け入れる事ができ、子宝にも恵まれ本当の家族となって幸せに暮らしていた。

そこに藩主の跡継ぎ問題が起こりその妻を返上しろという理不尽な主命が下される。

逆らえば一家断絶、従えば妻を地獄のような場所へ送る事となる。

 

 

妻を娶った侍の父親(剣豪)を三船敏郎が演じています。

三船敏郎が孫を連れ必死に走って関所を越えようする場面の息づかいはリアルで非常に苦しさを感じます!「とみぃ〜(孫の名前)ゼイゼイ、ヒィヒィ」って。

学校のマラソン大会を思い出すなあ。。

ライバルの剣豪(仲代達矢)との一騎打ちもあり、その張りつめた空気の圧力にこちらの息もつまりそうになります。

上意でも逆らう事もあります。

 

 

 

3「武士道残酷物語」

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ストーリー

物語は現代から始まります。(って言っても60年代)

その冒頭の事件がすでに暗いのですが、その事件をきっかけに先祖の記録を読んだ事を思い出します。なんと主人公の家系は代々悲惨な末路を辿った武士ばかり。

理不尽な武家社会が近代では日本軍と兵隊、現代では企業と従業員に形を変えて続いています。

悲しい運命を背負った子孫はその呪縛から逃れる事はできるのか!?

 

まずタイトルが重いです。同じく全く娯楽感のないカバーデザイン。

最高だぜ。

各時代の主人公を中村錦之助が演じています。 

 

 

 

 4「切腹」 

あの頃映画 「切腹」 [DVD]

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ストーリー

貧しくて食えなくなった侍達の間で切腹の申し出が増えました。裕福そうな屋敷の中庭を切腹のために貸して欲しいというもの。

もちろん迷惑なのでいくらかのお金を渡して追い返すのですがそのお金目当てに嘘の切腹申し出をするのです。

もはや切腹詐欺!

それに便乗しようとした貧乏侍が期待に反して切腹させられてしまいます。

絶対やるから最後に家族に連絡させてくれとの頼みも断られ、しかもとある理由から超絶苦しい方法になってしまいます。

そのシーンを観ているとぐわああああってなります。

その屋敷にまた一人切腹の志願者が現れるのですが、さて。

 

二人目に現れた侍を仲代達矢が演じています。

 この映画で初めて正式な切腹の作法を知りました。

切腹ってお腹を十文字に切るんですって!ぐわあああああ

 

 2011年にリメイクされています。

 

 

 

 

 

5「山椒大夫」 

山椒大夫 [DVD]

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ストーリー 

高貴な身分であった一家の父が流刑にされてしまいます。その流刑地に行くために母姉弟が旅に出ます。

そして旅の途中で出会った親切を装った老人に騙され、一家共々売られて離ればなれに。

母は女郎屋、姉弟は有力地主の荘園での過酷な労働を強いられます。

姉弟が意を決し逃亡をはかるのですがそのシーンは非常に切迫感がありハラハラして落ち着いてなんかいられない!

その後、弟は立身出世。荘園にいた奴隷を解放します。

その中に姉の姿はあるのか、母親とは再会できるのか?

 

日本三大映画監督の一人、溝口健二作品でヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞。

最近「涙活」なんていうムーブメントがあるそうですが、この映画は最適です。

最後のシーンではもう号泣;;映画で嗚咽をもらすなんて初めてでした・・

母親が女郎屋から逃げないようにされた仕打ち、姉弟労働環境のむごさには絶望しそうです。 

奴(やっこ:男)婢(はしため:女)という奴隷区分があった事を初めて知りました。

かつての日本ではこのような事があったのかと思うと胸が痛くなります。

 

 

 

−番外編−

 +1「七人の侍

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ストーリー 

言わずと知れた黒澤明の傑作時代劇。

野武士の集団に苦しめられる村の人々を助けようと七人の侍が立ち上がります。

クライマックスの雨の中の決戦は圧巻!!

 

これは痛快なエンターテイメント作品だよ?これが暗い??と思われそうですが、とても重く暗いテーマが各所に散りばめられています。

野武士の残虐性、さらわれた村の女性達の苦しみ、恨み。

しかし村人を一方的な被害者とするのではなく、また侍を高潔なヒーローとするのでもない。

人間の持つ弱さ、醜さ、欲望をそれぞれの立場に反映させて描いています。

その人間像の描き方は黒澤作品の特徴です。

武士道礼賛もしておらず、侍は消えゆく存在として扱われています。

最後のシーンにそれを示すはっきりとしたコントラストがあるので確認してみて下さい。

 と言う事で実は暗い映画です。「地獄の黙示録」だってこれをヒントにしてますよね?

 

 

 

以上暗い時代劇5選(+1)でした。

 

全部50〜60年代の映画なのですが、この時代の作品は戦後すぐという背景もあって封建的な旧体制を日本社会に未だ脈々と受け継がれている意識としてあぶり出し、批判する物が多かったのかな、と思えます。

 

日本が急成長を始める勢いがあったので、お上なんかクソ食らえ的な反骨精神が垣間見えます。

年代的には古い映画ですが、実は旧体制から抜け出せた新しい日本人の精神を映し出している作品だと思います。

これらの作品を観た後に現代日本の事を考えると、今は続く不況・災害・外交問題で保守的になっているようです。

そしてその不安の依り代となった政府の権力拡大の気配もあって、精神性ではなんだか退化してしまったような印象も受けて心配になります。

 

古い映画を観て前進する為の力とする。

まさに温故知新ですね。