未だ人気の衰えない岡本太郎の作品の一つに「座る事を拒否する椅子」という物があります。
座面に彫刻が施されていてとても座りにくい椅子なのですが、椅子が機能を失ってそこに「在る」事を主張する様な作品です。
それは芸術作品なので実用性が無くても何も問題はありません。
しかし実用的に工業製品として作られた椅子に、真に「座る事を拒否する椅子」と呼ぶにふさわしい作品があります。
それが倉俣史朗デザイン"Miss Blanche"(ミス・ブランチ)です。
倉俣史朗「ミス・ブランチ」|コレクションギャラリー|Artrip Museum 大阪新美術館コレクション
数年前に「倉俣史朗とエットレ・ソットサス展」に行って実物を観てきました。
映画「欲望という名の電車」の登場人物から名付けられたその椅子は、アクリルにバラの造花が埋め込まれている物で椅子の歴史上一番美しいのではないかと思います。
その美しさから誰もが座る事をためらってしまうでしょう。
倉俣史郎さんは日本人デザイナーの中で僕が一番好きな人です。
ちなみにその"Miss Blanche"価格は発売当時で200万円。
今はオークションで2000万円近くするからその面でも誰も座れませんがね・・・。